今回は、少し前にエアドロで大いに話題になったHyperliquidの新機能である「HyperEVM」について解説しようと思います。超高速のオーダーブックDEXだったHyperliquid上で自由にアプリが作ることができるHyperEVMですが、どのような展望と仕組みになっているのでしょうか。
HyperEVMとは?

HyperEVMは、分散型取引所「Hyperliquid」が独自に構築した高性能ブロックチェーン上で動く、EVM(Ethereum Virtual Machine)互換の仮想マシンです。既存のHyperliquid L1と同じHyperBFTというコンセンサス機構の下で動作し、HyperliquidのネイティブオーダーブックやDeFiインフラとシームレスに連携できる点が大きな特徴です。
通常、イーサリアム互換のネットワークは単独で稼働しますが、HyperEVMはHyperliquid本体(RustVM)と同じL1上で動くため、従来の「別チェーン」を経由したブリッジを必要とせず、交換や送受信、さらにはHyperliquidが提供する流動性・価格参照機能を直接利用できます。これにより、高速なオンチェーン・オーダーブック取引とスマートコントラクトによるDeFiアプリを一つのプラットフォームに統合できるようになりました。
HyperEVMの目的・狙い
1. オンチェーン取引とスマートコントラクトを一体化
Hyperliquidは元来、CLOB(Central Limit Order Book)ベースの高速DEXを中心としたサービスを提供しています。いわゆる板取引ですね。ここにEVM互換の仮想マシンを統合することで、「ネイティブなオーダーブックとDeFiアプリの直接接続」を可能にするのがHyperEVMの狙いです。
- 例:発行したトークンがすぐにHyperliquidの深い流動性を持つスポット/先物注文板で取引できる
- 例:オンチェーンで作動する自動マーケットメイクやオプション、レンディングプロトコルが、Hyperliquidのリアルタイム価格フィードを参照する
これらは従来のHyperliquidと同じくかなり早いので、利便性に優れていそうです。
2. EVMエコシステムを活用し開発者を呼び込む
RustVM上に構築されているHyperliquidのコア機能は、基本的にチーム主導のプロダクト(例:スポット取引、先物取引)に限られます。
一方、HyperEVMでは第三者が任意のスマートコントラクトやアプリをデプロイできるため、オープンなエコシステム形成に寄与します。Solidityや既存のEVM系ツール群を活用できることから、Ethereumコミュニティの開発者をスムーズに取り込むことを狙っています。
3. トークン発行やNFT展開の促進
Hyperliquid L1では「HIP-1」トークン規格を採用し、オンチェーンに新規トークンを作るためのオークション制度を導入しています。
これに対し、HyperEVM上では誰でも自由にトークン(Fungible / NFT)を発行可能になるため、開発者やプロジェクトがより気軽にアプリを展開し、エコシステムを拡大できる仕組みを提供します。
HyperEVMで何ができるのか
- DeFiアプリの自由な構築
イーサリアムライクなSolidity / Vyperでスマートコントラクトを書き、HyperEVM上にデプロイできます。既存のDeFiプロトコルをフォークしたり、新たに流動性プールや複雑な金融商品を実装することも可能です。 - HyperCoreとの直接連携
Hyperliquidの「HyperCore」(RustVM上のネイティブ機能)には、スポット・先物のオーダーブック、価格フィード、清算システムなどが含まれます。HyperEVMコントラクトはこれらの機能を直接参照し、迅速な価格更新や流動性提供を受けられる点が最大の強みです。 - 新たなトークンエコノミー設計
Hyperliquid L1上で発行されたネイティブトークン(HIP-1)や既存資産(USDCなど)を、HyperEVM上のスマートコントラクトで運用できます。さらに、HyperEVM内で発行された資産をHyperliquidのオーダーブックで売買できるようになる可能性もあり、高い相乗効果が期待されています。 - dApps・NFTの展開
トレーディング関連以外にも、NFTマーケットやゲーム(GameFi)、ソーシャルdAppなど、幅広いジャンルのdApp展開を想定できます。EVM互換によって開発者の参入ハードルが下がるため、迅速にNFT文化やオンチェーンゲームを盛り上げることが期待されています。
HyperEVMとエアドロップについて
1. HYPEトークンのエアドロップ概況
Hyperliquidは、ネイティブトークンHYPEを中心に独自のトークノミクスを敷いており、既にジェネシス配布や利用実績に基づくエアドロップで大きく注目を浴びています。
- 参考参考 エアドロップにより、コミュニティがHYPEを入手→プラットフォームでの活動を促進→取引量の急増や価格高騰につながった例がある
2. HyperEVM稼働後のトークン戦略
HyperEVMの本格稼働に伴い、新規ユーザーの参入や新たなアプリ開発を奨励するプログラムが行われる可能性があります。
- 例えば、EVM上でdAppをデプロイした開発者向けインセンティブ、あるいはユーザーによる初回利用(トランザクション実行)に対するエアドロップなど
- 公式から具体的なアナウンスはまだないものの、**「新規チェーン=エアドロップの期待」**というのはDeFiコミュニティではよくある流れ
3. 参加・獲得の可能性
実際にエアドロップが実施される場合、以下の行動が条件となる可能性があります。
- HyperEVMテストネットへの継続的な参加、デプロイやテスト取引
- HYPEトークンの一定保有量やステーキング
- HyperEVM上の主要プロジェクト利用(融資・取引・NFT売買など)
現時点ではあくまで推測ですが、過去の大型エアドロップ事例(OptimismやArbitrumなど)と同様のパターンが考えられるため、早期参加のユーザーは動向に注目しておくとよいでしょう。
HyperEVMの技術的詳細、仕組み
- 単一コンセンサス:HyperBFT
- HyperliquidはHyperBFTを改変した独自PoS合意プロトコルを採用し、RustVM(HyperCore)とHyperEVMの両方がこの単一のコンセンサスレイヤー上で動作します。
- これにより、EVMチェーンの検証者とRustVMの検証者が分離されず、セキュリティを共有できる点が特徴。
- RustVM(Core機能)とEVMのデュアルVM構造
- RustVM側は、Hyperliquid自身が提供するスポット・先物取引の基盤や、HIP-1トークンのメカニズムなどを実装。一般開発者がRustVM上で自由にdAppを展開することは制限されています。
- EVM側はパーミッションレスで、誰でもコントラクトデプロイ可能。RustVMのオーダーブックや清算機構をAPI的に利用する形が想定されています。
- 資産のクロスVM互換
- Hyperliquid L1には「HIP-1」標準をベースとしたトークンや、原資産としてUSDCが存在。
- HyperEVMとL1の間で一部アセットの移転が可能になり、EVM上のトークンとネイティブ資産(HYPE、USDCなど)が相互に交換・利用できる設計を目指しています。
- ただしまだテスト実装段階であり、全アセットがシームレスに動くわけではない点に留意が必要。
- ガス代にHYPEを使用
- 従来のRustVM上ではガス手数料がほぼ不要(またはHyperliquidが負担)でしたが、HyperEVMではHYPEトークンをガスとして使用。
- これにより「HYPEの需要増」「エコシステム拡大によるトークン価値向上」という好循環を狙っています。
- 将来的なアップグレード
- Hyperliquidによる公式ドキュメントでは、HyperEVMのさらなる拡張機能(rollup系技術の導入やアドバンストなトランザクション高速化)が示唆されています。
- まだ詳細が不透明な部分もあり、今後のバージョンアップに伴ってDeFiコンポーザビリティや開発者体験が改善される可能性が高いでしょう。
まとめ
HyperEVMは、Hyperliquid L1のCLOB式DEXや清算メカニズムと直接連携しつつ、EVM互換のパーミッションレス・プラットフォームを実現する画期的な取り組みです。RustVM(HyperCore)と同じHyperBFTコンセンサス上で稼働するため、単一チェーンのセキュリティと高性能、そしてマルチなDeFi展開を同時に提供できる点が大きなメリットとなります。
既に「HYPEトークンを使ったエアドロップはあるのか?」といったコミュニティの注目も集まっており、テストネットや早期ユーザーが何らかの優遇を受ける可能性が高いと推測されています。また、スポット・先物取引で大きな成功を収めたHyperliquid本体の利用者をHyperEVMに取り込み、深い流動性と自由なコントラクト開発を両立させることで、“オンチェーンBinance”のようなエコシステムを築くことがHyperEVMの目指すところと言えるでしょう。
今後、HyperEVMが正式にローンチされると、イーサリアム系の開発者コミュニティやDeFi投資家が一気に流れ込み、独自のトークン発行やNFT、GameFiなど多彩なユースケースが拡大する可能性があります。高速DEXとスマートコントラクトの融合がどのような相乗効果を生み出すのか、今後のHyperEVMの展開に大いに注目が集まります。

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